【高圧ガスが最良】メーカーの化学者が取得したい資格まとめ

メーカー勤務の化学者が取得するべき資格まとめ

世の中には様々な資格がありますが、メーカー勤務の化学者にとって実用性が高い資格もあれば、知識を活かしにくい資格もあります。

このページでは、メーカーで勤務する化学者にとって、実用性が高いと個人的に感じている順に資格をご紹介します。

私が実際に取得する中で感じた個人的な主観(偏見)に基づくものですが、資格選びの一助になれば幸いです。

目次

実用性★★★

高圧ガス製造保安責任者

メーカー勤務者で最も実用性が高いのは「高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)」です。

高圧ガス免状
高圧ガス(甲種機械と甲種化学)の免状

学校を出たばかりだと「SUS304(通称:サス)の特徴」、「メカニカルシール(通称:メカ、メカシール)の機構」といった超超基本的事柄も知らないのが普通ではないでしょうか?

メーカーで先輩社員や現場の方の会話がわからない場合は、とりあえず「高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)」をとりましょう。なぜなら、高圧ガスの試験勉強を通じて、ポンプやコンプレッサーの用途や構造、金属の種類や腐食への対策など、メーカーで勤務する上で必須の知識を効率よく勉強することができるためです。

試験勉強の後で実物を見ると理解が進みます

また、高圧ガス製造保安責任者(甲種)には化学・機械の2区分があり、どちらかを選んで受験します。化学は機械に比べて、ガス組成の爆発範囲など化学よりの問題が出題されます。しかし、高圧ガスの試験には、機械的な知識を網羅できることに大きな意義があると感じているので、甲種機械の取得を個人的にはお勧めします。

第三種電気主任技術者

実用性が高圧ガス(機械)の次に高いのは、第三種電気主任技術者(電験三種)です。

ポンプやコンプレッサーの構造や種類は高圧ガス(機械)で知ることができます。しかし、それらを実際に稼働させるためには3相交流電源が必須です。あなたは「この撹拌機のモーターは400kWのかご型誘導機」、「ミキサーの回転数調整をVVVFインバーターで実施」といった事柄をイメージできますか?電気主任技術者の勉強をすると、モーターに対する苦手意識がなくなるので、是非取り組んでみてください。

電験には第一種から第三種まであり、第二種まで勉強すると、誘導機のモデル回路からモーターの特性などを理解できるようになるのですが、その分、第三種より勉強時間が増大します。ひとまず第三種を取得し、「電気も結構面白いな」と思った場合は、第二種の取得も目指してみましょう。

電験二種はかなり難易度が高いですが、計算問題のパターンは限られているので、努力は実りやすいです

電験の免状
電験二種の免状

第二種電気工事士

次に実用性が高い資格は第二種電気工事士です。

電気工事士の免状
電気工事士の免状

第二種電気工事士を取得するだけでは、工場にあるポンプなどの電気工事はできませんが、家庭にある100Vの電源に対するDIYなどを自力で行うことができます。

第二種電気工事士には筆記と実技があり、電験の資格取得者であれば筆記は免除されます。実技は決まったパターンの中から、当日の試験会場で「このパターンを作ってください」と指定されるので、難易度は高くはありません。

電気工事専用の工具と練習キットはネットで購入しましょう

100V、200Vの取り扱いが自分でできるとDIYや農業がはかどるので、是非取得してみてください。

実用性★★

危険物取扱者試験(甲種)

メーカーに勤務した場合、最初に危険物取扱者を取得される場合が多いです。

大学・大学院を出た場合、「甲種」の危険物取扱者を取得されるのが一般的ですが、甲種危険物取扱者試験は受験資格が独特です。「名称の一部に「化学」の字句が含まれる学科又は課程」が受験資格の1つになっており、例えば機電系の学部や、高専を出て化学メーカーに入社した場合、受験自体が結構厳しくなります。(2025年時点)

「化学」の学科を卒業していない場合でも、化学に関する授業を15単位以上修得するなどしていれば受験可能です

危険物取扱者の試験では、個別の薬品に関する知識も問われるので案外難しい試験です。(例えば、2024年度は過酸化ベンゾイルや三フッ化臭素などが出題されています)

私は物質の色が赤褐色なのか赤色なのかまで丸暗記していました

危険物取扱者の知識があれば、実験室に持ち込める溶剤の量、倉庫に保管できる試薬の量などを把握できますが、知識が毎日使えるかといえばそうでもないので、個人的な実用性は★2つです。

エネルギー管理士

エネルギー管理士には熱分野と電気分野の2つの受験方法があり、化学者の場合は熱分野を選ぶことがほとんどと思います。

エネルギー管理士の免状をもらうためには、エネルギーの使用の合理化に関する実務経験が必要です

エネルギー管理士の試験の特徴は、発電所のボイラサイクルや、自動車のエンジンサイクルといった熱サイクルに関する問題が多いことです。また、高圧ガス試験のような流量計、圧力計などのに関する知識も問われます。

ただし、メーカー勤務の化学者にとってボイラサイクルやエンジンサイクルを取り扱うケースは少なく、計器類の知識は高圧ガス試験ででも身に着けることができるので、個人的な実用性は★2つです。

エネルギー管理士の免状
エネルギー管理士の免状

実用性★

公害防止管理者

公害防止管理者の試験区分は大気・水質・ダイオキシンなど複数あります。

私は水質1種のみ取得しています。

公害防止の免状
公害防止管理者の免状

水質の試験では、次のようにかなり細かい知識が問われます。

富栄養化指標に関する記述として、誤っているものはどれか。

(1),(3)~(5)略

(2) 硝酸体窒素は,魚類の呼吸酵素を阻害するなど毒性が強く,水産用水基準では,淡水域では 1.9 mg/L の基準値が設定されている。

R6年 水質概論 問7より
正解はこちら

この問題では、「硝酸性窒素」は誤りで、「亜硝酸体窒素」が正しいです。

さらに、個々の分野の問題数は10問程度しかなく、細かい知識が問われる中で6割以上の正答率が必要なため、激ムズ試験です。

特定年度の水質測定結果をもとにした出題のような、長期的な知識になりにくい問題もあるので、個人的な実用度は★1つです。

基本情報処理技術者

基本情報処理技術者はファイアウォールや並び替えアルゴリズムなど、情報処理技術の基本的な知識を得ることができる試験です。

私は情報系の部署にいた際に、社内SEや社外営業の会話を理解するために、応用情報処理技術者まで取得しました。

基本情報処理技術者の試験勉強を通じて、情報セキュリティの重要性などを学ぶことができますが、化学者がメーカーで勤務する上で、すぐ役立つというわけではないと思うので、個人的な実用性は★1つです。

情報処理技術者の免状
応用情報処理技術者の免状

まとめ

このページでは、メーカーで勤務する化学者にとって、個人的に実用性が高いと感じている資格をご紹介しました。

個人的には「高圧ガス製造保安責任者」で問われる内容はメーカー勤務者であれば、ほぼ必須の知識ではないかと考えています。

工場に配属され、先輩社員やプラントエンジニアの会話についていけなかった場合、まずは高圧ガス資格で問われる内容を勉強してみましょう。

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