高圧ガスの非認定品は使える?認定品のメリット2選を解説

高圧ガスのバルブイラスト

高圧ガス配管の工事を行うときに「バルブは認定品を使います」とか、「非認定品なので、許可が必要です」といった会話を聞いたことはありませんか?

高圧ガス保安法では、たった一つのバルブを変えるだけでも、行政の許可を得た後でなければ工事はできませんし、試料の量は膨大になりがちです。バルブが詰まってしまった場合でも、今すぐ交換することはできないのです。

そんな制約を変えられるのが「認定品」です。このページでは、高圧ガス認定品について、そのメリットを詳しく解説します。

目次

高圧ガス認定品以外は使える?まず結論と判断の前提

非認定品でも利用できるが、認定品の利用がおすすめ

結論から言うと、非認定品は高圧ガス設備でも全く問題なく使えます。

「使ってはいけない」という意味の非認定ではないんだね

では、認定品が何が優れているか、バルブを変更する工事の場合で考えてみましょう!

フローシート

この場合、非認定バルブへ交換する場合、行政の許可が事前に必要ですが、認定バルブへ交換する場合は事後の届出でよく、提出書類もかなり簡便化される、というのが認定バルブのメリットです。

許可は取り換え前に行政から事前にもらう必要がありますが、届出は取り換え後の提出で問題ありません。

高圧ガス認定品とは何か:制度・認定・KHKの基礎知識

それでは、「認定品」とは何か改めて紹介します。

「認定品(高圧ガス認定品)」とは、高圧ガス設備に関する一定の試験や確認を適切に実施できると認められた事業者が、認定された仕様範囲内で製造・試験した製品を指すものです。

「KHK認定品」「大臣認定品」と呼ばれることもあります。

最も多く利用する認定品は「バルブ類」ですが、その他にも調整弁や液面計、さらには蒸発器に至るまで登録されています。

種類備考
配管認定業者が作ったものに限る
仕切弁ボール弁、逆止弁など
調整弁圧力調整弁、背圧調整弁など
安全弁
液面計
蒸発器CE用など
フレキシブルホース
認定品の例

KHKのホームページで認定品の種類を調べることができます

それでは、認定品のメリットを詳しく見ていきましょう!

認定品のメリットその1:変更工事で耐圧試験などの省略できる

認定品のメリットその1

認定品のメリットを伝えるために、高圧ガスが通るバルブを変更するを考えましょう。

フローシート

さっき書いた通り、認定品でも非認定品でも両方使用できます。しかし、認定品の場合は、非認定品に比べて試験や資料を省略できるものが多くあります。

実際、非認定品(例えばバルブ)を使って交換をする場合、変更許可での申請時(あるいは完成検査時)には以下の書類が必要です。

一般則第6条規制内容必要な書類
11号耐圧性水での耐圧試験結果
12号気密性窒素等での気密試験結果
13号強度図面・肉厚測定結果
14号材料ミルシート

非認定品を使ってバルブを交換する場合、これだけもの試験や計算、書類を用意しなければなりません。しかし、認定品の場合、認定試験者試験等成績書の1枚を添付するだけで、これらの試験や書類をパスできます。

認定試験者試験等成績書
認定試験者試験等成績書が添付されたものが認定品になります

これは、経済産業省からのお達し(通達)によって、認定試験者試験等成績書が添付されたものが「認定品」であると定義されているためです。

非認定品を使った場合、必要になる試験・書類など

耐圧・気密性

高圧ガス配管や機器の工事をする場合、高い圧力に対して問題ないことを行政に示す必要があります。

そのため、例えば常用圧力が2MPaのバルブを更新するする場合、バルブに水を満たした状態で3MPa(2MPa×1.5)まで昇圧した状態で配管に異常が発生しないか(たとえばバルブが膨らむなど)を確かめる試験を行う必要があります。これが耐圧試験です。

配管
耐圧試験は常用圧力の1.5倍で行います

さらに、バルブの気密性を確認するため、常用圧力の気体(窒素や空気)を利用し、外部に対して漏れが無いか確認する試験も行う必要があります。これが気密試験です。

液体よりももれやすい気体を使うことで配管類の気密性を確認します。

強度

実際のバルブや配管に圧力をかける耐圧試験や気密試験だけでなく、高い圧力に対して機器が十分な強度を持っているか計算で示す必要もあります。これが強度計算です。

非認定品の場合、一つ一つのバルブ類について、強度計算を行う必要があります。計算方法は経済産業省から示されています(「特定設備の技術基準の解釈」の第6条)。例えば、1Bのバルブ(設計圧力4MPa、材質SCS13)の場合、最低限要求される肉厚は1.9mmである、という風に計算されます。

バルブみたいな複雑な形状だと、強度が担保されているかどうやって確認するの?

どんな複雑な機器でも、機器の中で一番肉厚が小さい部分が必要肉厚を超えて入ればOKです。

材料

いくら分厚い配管であっても、粗悪な材質の場合、すぐに配管は強度を失ってしまいます。そのため、使用してよい材質も高圧ガス保安法の枠組みの中で規定されています。

例えば、溶接が行われる部分での炭素の含有量は0.35%以下でなければなりません。

さらに、実際に適切な材質を用いて配管やバルブなどを作成したか、を示すのが「ミルシート」です。

申請資料でSUS304を使いますと書いて、実際にはSTPG370を使ったということを防いでいるんだね

認定品のメリットその2:取換えの場合、届出でOK

さらに、認定品で取り換えた場合、行政の許可は不要で、届出でよいというメリットもあります。

認定品を使う最大のメリットといっても過言ではありません。

これは、一般則第15条で示されているね。

例えば、既設のバルブが劣化したため、新しいバルブに更新したい場合を考えてみましょう。

フローシート

認定品の場合は交換した後で行政に対して軽微変更届を出せばOKです。しかし、もし非認定品に交換する場合は、交換前に行政の変更許可を得た後でなければ1個のバルブであっても変えることはできず、交換した後にも行政などの完成検査を受ける必要があります。

届出は許可とは異なり基本的には行政に対する通知行為でしかありません(行政手続法第2条)

確かに市役所に婚姻届はあっても婚姻許可はないよね

認定品へ取り換える場合、基本的には軽微変更届でも問題ありませんが、処理量が異なる認定品への取り換え(例えばCEの気化器の更新)の場合、認定品であっても変更許可が必要になるので、要注意です。

まとめ

このページでは高圧ガスの設備で認定品を使うメリットを2つ解説しました。

高圧ガス保安法では、たった一つのバルブを変えるだけでも、行政の許可を得た後でなければ工事はできませんし、試料の量は膨大になりがちですが、「認定品」を使えばこれらを上手く省略できます。

認定品は非認定品よりも高価で納期も長くなりがちですが、その分メリットもあるものなのです。

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