ポンプが出せる流量であったりは、性能曲線を見れば分かるわけですが、初めての方は読み方が分からないものです。あるいは、ベテランの人でも配管抵抗曲線を使ったポンプ流量の決め方は知らない方も多いです。
このページでは、性能曲線と配管抵抗曲線から分かるポンプ流量の見積もり方法と、ポンプを選ぶときのポイントについて解説します。
【ここだけ見る】ポンプ性能曲線の見方
ポンプを選定するシンプルな手順
ポンプ性能曲線では、横軸が流量、縦軸が全揚程である構成が一般的です。横軸の流量の単位はm³/h、L/minなどが使われるため、単位を最初に確認してください。縦軸の全揚程は通常mで表示されますが、機種によってはMPa、barなどの圧力表示が使われることもあります。
では、寺田ポンプ製作所のHP-100の性能曲線を使って、ポンプの選定方法を考えていきましょう!


寺田ポンプは使いやすいので、実家の農業で使っています
必要となる全揚程が分かっている場合は、その高さから横に進み、全揚程曲線と交わる位置から下へたどれば、そのポンプが出せる流量が分かります。例えば、寺田ポンプのHP-100を使って4m分高いタンクに水をくみ上げる場合、流量は52L/min出るというわけです。

さらに、全揚程が同じであれば同じ作図になるので、「高低差4m」の移送と「圧力損失4m」の移送(たとえば配管が長かったり、途中に調節弁がある場合など)は同じ流量がでることになります。

配管圧力損失曲線とは
さて、先ほどはタンクの高低差からまっすぐ横線を引っ張って、ポンプの全揚程曲線と交わったところで流量が決まることを見ました。しかし、実際には配管を液体が流れることで、圧力損失(摩擦によるもの)が発生します。

圧力損失を考えると、ポンプが出せる流量は小さくなってしまうんだね。
この配管の圧力損失を考慮したものが「配管抵抗曲線」や「システム曲線」と呼ばれるものです。配管抵抗曲線は、液面差による静水頭(ヘッド)に、配管、継手、バルブ、ストレーナー、熱交換器などの圧力損失を加えて作ることができます。

乱流の圧力損失は流量の2乗で大きくなるので、配管抵抗曲線は流量とともにどんどん大きくなります。
実際にポンプの運転が実現するのは、ポンプが出せる揚程と設備側が必要とする揚程が一致する点です。要するに、全揚程曲線と配管抵抗曲線が交わる点が実際に出る流量です。

例えば、先ほど取り扱った、ポンプで高低差4mのタンクに水を移すケースですが、配管圧損を加味した場合を考えてみましょう。配管圧損のかかる配管の内径を20mmとし、配管長を10mとすると、ダルシー・ワイスバッハの式を使うと、配管抵抗曲線を作ることができます。この配管抵抗曲線と全揚程曲線を交わる点によって、実際にポンプが出せる流量は37L/minに減ります。

流量が増えると圧損が大きくなるから、配管抵抗曲線は右肩上がりなんだね
バルブを絞る、ストレーナーが詰まる、配管を延長するなどで抵抗が増えると、システム曲線は上方へ移動し、運転点は低流量・高揚程側へ変わります。反対に抵抗が小さい系統では大流量側に寄るため、モーター過負荷や最低必要吸込ヘッド不足に注意が必要です。
| 配管条件の変化 | システム曲線の変化 | 運転点への主な影響 |
|---|---|---|
| バルブを絞る | 抵抗が増えて上方へ移動 | 流量が減少し、余剰エネルギーがバルブで損失になる |
| 配管を太くする | 抵抗が減って下方へ移動 | 流量が増加し、大流量側へ寄る |
| ストレーナーが目詰まりする | 抵抗が増えて上方へ移動 | 流量低下、吸込側ならキャビテーションの危険も増える |
ただ、工場では流量はコントロールバルブ(CV)で調節するのが普通ですので、配管抵抗曲線を作らない方が普通でもあります。

配管抵抗曲線を性能曲線に加えると、どのようなポンプの運転環境になるのかが視覚的にわかるので、配管抵抗曲線も一度作ってみてください。
ポンプ性能曲線の選定でよくある失敗と最終チェックリスト
交点だけで選定しない:効率・動力・モーター容量も確認する
ポンプのスペックが要求流量・必要全揚程を満たしていても、それだけで最適な選定とはいえません。例えば、配管抵抗曲線との交点が最高効率点から大きく離れていると、消費電力が増え、振動、騒音、軸受負荷、シール摩耗などが起こりやすくなります。
さらに、流量が変動する設備では通常運転点だけでなく、最小流量・最大流量の各点で効率と動力を確認が必要です。選定候補が複数ある場合は、要求点に近いだけでなく、想定運転範囲で効率が高く、モーター負荷に適切な余裕がある機種を選ぶことが基本です。
圧力損失の見落としとバルブ全開・部分開運転のリスク
配管抵抗の計算では、当然ですが直管部だけでなく、エルボ、バルブ、ストレーナーなどの局部損失を見落とす失敗がよくあります。特にストレーナー、フィルター、熱交換器などは使用期間とともに損失が増えるため、新品の時のデータだけで選定すると、運転後に流量不足となるおそれがあります。
一方で、抵抗を過大に見積もって大型ポンプを選び、バルブを常時絞って調整する運転も非効率です。この場合、ポンプが発生した余剰揚程をバルブで熱や圧力損失として捨てるため、電力の無駄につながります。
電源周波数、電圧、回転数の違いによる性能不足に注意
50Hz用ポンプを60Hzで運転した場合、または60Hz用ポンプを50Hzで運転した場合は、回転数が変化するため、性能曲線も変わります。60Hz用の性能を前提に50Hz地域で使用すると、流量はおよそ低下し、全揚程は回転数比の2乗に応じて大きく低下するため、必要能力を満たせないことがあります。
反対に50Hz用の条件を超える周波数で運転すると、流量・揚程・軸動力が増加し、モーター過負荷やポンプの許容最高回転数超過につながるおそれがあります。電圧も重要で、電圧降下や相間電圧の不平衡は始動不良、電流増加、モーター発熱の原因になります。
動力・消費電力・電流・モーター出力をカタログで確認する
軸動力曲線は、各流量でポンプ軸に必要となる動力を示す曲線です。この値を基に、伝達損失、モーター効率、使用液の密度補正、余裕率を考慮してモーター出力を選定します。
例えば、流量が出過ぎてモーターが過負荷になる場合は、ポンプの羽根車径、回転数、配管設計、制御方式を見直す必要があります。通常のバルブ開度、全開時、部分開時、ストレーナー汚れ時を想定した配管抵抗曲線を想定し、各条件で安全な運転範囲に収まるかを確認しましょう。
まとめ
このページでは、性能曲線と配管抵抗曲線から分かるポンプ流量の見積もり方法と、ポンプを選ぶときのポイントについて解説しました。
性能曲線はポンプの能力を表す一番基本的な情報です。普通、カタログにはポンプの全揚程曲線や効率しか載っていません。しかし、そこに配管抵抗曲線を加えると、どのようなポンプの運転環境になるのかが視覚的にわかるようになります。
「流量はCV(コントロールバルブ)で調節するから配管抵抗曲線なんて必要ないよ」と言わずに、配管抵抗曲線も一度作ってみてください。





