化学工場では、よく「一圧容器」、「特定設備」などといった言葉を聞きますが、これらは圧力容器の種類を表すものです。
しかし、工場で働いていても、どのようなものが一圧容器や特定設備になるのか、どのように定義されているのかは知らないことが多いのです。
この記事は、圧力容器を分類するフローチャートをまずご紹介しつつ、圧力容器それぞれの概要を法令の定義を引用しながらご紹介します。
圧力容器の種類・分類フローチャート
圧力容器でよく耳にするのが、特定設備、第一種圧力容器、小型圧力容器などです。これらは高圧ガス保安法や労働安全衛生法で定義されています。
容器の分類を正確に行うためには、法令を丁寧に読みこむ必要があります。しかし、忙しい皆さんのために、圧力容器のざっくりとした分類フローチャートを作りましたので、是非ご活用ください。おそらくほとんどの設備を分類できると思います。


では、それぞれの圧力容器の概要をご説明していきます。
いわゆる高圧ボンベ
まず圧力容器としてもっともメジャーなのがいわゆる高圧ボンベです。高圧ガス保安法における容器保安規則の適用を受けるものは特定設備ではなく、いわゆる高圧ボンベになります。

このページのメインテーマは特定設備や第一種圧力容器などですが、特定設備が「ガスボンベではないもの」として定義されているため、まずは圧力容器としてガスボンベをご紹介しています。
特定設備は、高圧ガス設備のうち次の各号に掲げる容器以外の容器及び当該容器の支持構造物とする。
一 容器保安規則(昭和四十一年通商産業省令第五十号)の適用を受ける容器二 以下、略
高圧ガス保安法 特定設備検査規則 第3条の概要・抜粋
特定設備

さて、このページのメインテーマである、特定設備や第一種圧力容器などについてご紹介です。
高圧ガス保安法の特定設備となる条件(高圧ガス保安法 特定設備検査規則 第3条)は「高圧ボンベではない」など、たくさんありますが、このページですべては紹介できないので、最もメジャーなものだけ解説します。
特定設備になる主な条件は、「設計圧力P(MPa)と内容積V(m3)積が0.004を超える」です。いわゆる「PV値>0.004で特定設備」と呼ばれるものです。


例えば、液化ガスの場合、設計圧力0.5MPa、体積10L(0.01m3)の小さなタンクでも特定設備になります

PV値が0.004なんてすぐに超えてしまうね
特定設備は、高圧ガス設備のうち次の各号に掲げる容器以外の容器及び当該容器の支持構造物とする。
高圧ガス保安法 特定設備検査規則 第3条の概要・抜粋
四 設計圧力(特定設備を使用することができる最高の圧力として設計された圧力をいう。以下同じ。)をメガパスカルで表した数値と内容積を立方メートルで表した数値との積が〇・〇〇四以下の容器容器保安規則(昭和四十一年通商産業省令第五十号)の適用を受ける容器
PV値が0.004を超える容器(貯槽や熱交換器、反応器など)は高圧ガス保安法の特定設備となり、KHKの検査を受けたものでないと使用許可が下りません。特定設備の審査は材料から構造、溶接方法まで細かく審査されるため、かなり大変です。

そのため、設備を分割するなどして、特定設備となることを避ける場合も多いです
第一種圧力容器
高圧ガス保安法の特定設備とならなくても、労働安全衛生法で規制を受ける圧力容器(第一種圧力容器や第二種圧力容器)となり得ます。

逆に、高圧ガス保安法の適用を受けた容器は労働安全衛生法の適用を受けません(労働安全衛生法施行令 第12条など)
この内、第一種圧力容器(一圧容器)は労働安全衛生法施行令で定義されていますが、簡単にいうと「加熱や反応などが起こり、内部が大気圧を超える容器」が一圧容器です。

第一種圧力容器 次に掲げる容器をいう。
労働安全衛生法施行令 第1条第1項第5号 概要・抜粋
イ 蒸気その他の熱媒を受け入れ、又は蒸気を発生させて固体又は液体を加熱する容器で、容器内の圧力が大気圧を超えるもの
ロ 容器内における化学反応、原子核反応その他の反応によつて蒸気が発生する容器で、容器内の圧力が大気圧を超えるもの
ハ以下 略
例えば、加圧下でポリマーストリッピングする機器は「蒸気によって液体を加熱する容器で、容器内が大気圧を超える」ため、第一種圧力容器になります。
小型圧力容器
第一種圧力容器のうち、小型のものは「小型圧力容器」に分類されます。小型圧力容器としてよく見かけるのは研究室レベルでの反応器(オートクレーブ)です。

小型圧力容器は第一種圧力容器の一つの形態として定義されています。つまり、小型圧力容器は第一種圧力容器でもあります。
小型圧力容器 第一種圧力容器のうち、次に掲げる容器をいう。
労働安全衛生法施行令 第1条 第1項 第6号
イ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下で使用する容器で、内容積が〇・二立方メートル以下のもの又は胴の内径が五百ミリメートル以下で、かつ、その長さが千ミリメートル以下のもの
ロ その使用する最高のゲージ圧力をメガパスカルで表した数値と内容積を立方メートルで表した数値との積が〇・〇二以下の容器
小型圧力容器に分類されることのメリットは、次のようなものがあります。
- 取り扱いの際に作業主任者の選任が不要(法14条)
- 容器の製造者に許可が不要(法37条)
- 溶接の溶接に免許や資格が不要(法61条)
第二種圧力容器
最後に、第二種圧力容器を紹介します。第二種圧力容器は要するに「ガスホルダー(ガス貯蔵タンク)」です。中で加熱も反応も行われなければ、液相が混在する容器でもありません。
第二種圧力容器 ゲージ圧力〇・二メガパスカル以上の気体をその内部に保有する容器(第一種圧力容器を除く。)のうち、次に掲げる容器をいう。
労働安全衛生法施行令 第1条 第1項 第7号
イ 内容積が〇・〇四立方メートル以上の容器
ロ 胴の内径が二百ミリメートル以上で、かつ、その長さが千ミリメートル以上の容器
具体的な例としては、バイオマス発電で廃棄物から発生するメタンを一時貯蔵するためのメタンガスホルダーなどがあります。

まとめ
この記事は、圧力容器を分類するフローチャートをまずご紹介し、そのあとでそれぞれの圧力容器の概要を法令の定義を引用しながらご紹介しました。
特定設備や一圧容器ははじめは取っつきにくいものですが、ざっくりと言うと、高圧ガスで大きい機器は特定設備、高圧ガスでない機器で気体が内部で発生するものは一圧容器です。
ただし、各々を正確に分類するためには、高圧ガス保安法や労働安全衛生法に立ちかえる必要がありますので、実際に新しい設備を導入する際は行政にも相談しましょう。

