3分でわかる花火の仕組み|「打ち上がる・開く・色づく」理由

花火イラスト

夏と言えば、夜空に打ちあがる花火の季節ですが、化学メーカーで働いている私からすると、花火は信じられないくらいすごいこと(恐ろしいこと)を行っています。

例えば隅田川花火の場合、最大の花火サイズは5号玉の花火ですが、玉の重さは1kgほどあります。この重さの玉を地上の筒の中から火薬を使って吹き飛ばし、上空200mで直径150mもの燃える花を描かせています。

この記事では、「打ち上げ花火はなぜ空高く上がり、上空で丸く開いて色鮮やかに見えるのか」を知りたい人に向けた解説ページです。

目次

花火打ち上げの仕組みを3分で理解|上がる・開く・色づく流れ

打ち上げ花火は、大きく分けると「打上筒から上がる」「上空で花火玉が割れる」「星と呼ばれる火薬の粒が燃えて光る」という3段階でできています。花火師は玉の構造、火薬量、導火線の長さを細かく調整し、開く高さ、音、色の変化まで作りこんで製造しています。

  • 打ち上げ:発射薬の燃焼ガスで花火玉を筒から押し出す
  • 開花:上空で割薬が燃え、星を外側へ均一に飛ばす
  • 発色:星に含まれる成分が高温で燃え、固有の色を出す
  • 演出:星の配列と燃焼時間により形や残光を表現する
段階主な役割見える現象
発射発射薬が花火玉を上昇させる光の尾を引きながら上がる
破裂割薬が玉を開かせる大きな音とともに花開く
燃焼星が燃えて色と軌跡を作る色彩、形、余韻が広がる

5号玉より小さいものは中国からの輸入品のほうが国産よりも多いです。

打上筒の中で起こること|導火線への点火から上昇まで

打ち上げ花火は、地面にしっかり固定した筒に花火玉を入れて、筒の底にある火薬へ点火して発射します。

筒の中の煙火玉イメージ

打ち上げ用の火薬には黒色小粒火薬が使われます。この火薬が燃えてできるガス(CO2やN2など)によって玉が上空へ打ち出されるというわけです。

黒色火薬
黒色火薬はさらさらです

花火玉には2.5号から10号玉(1尺玉)、さらには4尺玉に至るまで様々な大きさがあり、それぞれ重さが異なります。そのため、打ち上げに必要となる火薬量は4号玉では40g程度ですが、1尺玉(10号玉)では500g程度と必要となる火薬量も大きく異なります。

煙火打ち上げ
黒色火薬はビニール袋に入れられている

筒内の圧力が5~10気圧程度まで上がります

爆風を使って花火を打ち上げるので、玉と筒とのすき間が重要です。例えば、筒の大きさよりもはるかに小さい玉を入れてしまうと、爆風がうまく玉に伝わりません。その結果、花火が想定よりも高く上がらず、地面付近で開いたりする(地上開発)など、危険な状態になってしまいます。

筒に正しいサイズの玉を入れたとしても、玉が筒の底まで下りきらずに筒の途中で止まってしまうことがあります。この場合も爆風が十分に生まれず、地上開発などの危険性を生むので、一つ一つ玉を棒で押すなどして筒の底に入れることが重要になってきます。

花火イラスト
花火師は花火玉が筒の一番下まで降りたか確認します

筒の底にある火薬に点火させれば花火は打ちあがるわけですが、この点火には電気導火線を使って点火するのが一般的です。基本1つの花火に1本の電気導火線が使われますが、スターマインのように電気導火線1本と速火線を組み合わせて連続的に打ち上げる場合もあります。

電気導火線

電気導火線は当然使い捨てです

上空で花火が開く理由|火薬と破裂のタイミング

電気点火などで黒色火薬に着火させると、大量の火の粉も爆風と同時に生まれます。この大量の火の粉によって、花火玉にも着火します。どこに着火するかというと、「親導(おやみち)」と呼ばれる部分です。

煙火玉

親導は花火玉の皮を貫いて玉の中心まで達しています。親導は要するに導火線のことで、揚げ薬の火の粉を受け止め、花火へ火を移すことが役割です。

煙火玉の構造

親導の端に火がついてから中心にたどり着くまでには一定の時間がかかるため、発射時に火がついた導火線は、花火玉が上昇する間に燃え進み、あらかじめ計算された時間後に割薬へ着火します。つまり、適切な長さの親導を使うことで、筒から打ち上げた花火玉を狙った高さの上空で開かせることができるというわけです。

花火
花火が揚がるときの光の尾は親導ではなく、「朴」と呼ばれる仕掛けです

花火玉の中には、外側に近い部分へ並べられた「星」と、中心部に配置された「割り薬」が入っています。親導によって火が花火玉の中心までたどり着くと、割り薬に着火し、玉を割って花火が開くというわけです。

円形の花火を美しく見せるには、星の配置、割薬の力、星の重さのバランスが重要です。例えば、星が一方向に偏って飛ぶと形が崩れます。ほかにも、割薬が強すぎると星が散りすぎ、弱すぎると十分に開きません。

花火が色づく仕組み|火花を生む金属化合物と演出

割り薬によって、花火が開くと同時に、玉に入っていた星にも火が付きます。この星が燃える時間は5秒程度と短いですが、花火の模様や色合いを決定付けるもので、花火のメインとなるものです。

花火の星

花火の色は、星に配合された金属化合物などの成分が燃焼時に発する光によって作られます。代表的には、ストロンチウム系の成分で赤、バリウム系の成分で緑、銅系の成分で青、ナトリウム系の成分で黄を表現します。

ただし、実際の発色は金属化合物だけで決まるわけではなく、燃焼温度(酸化剤の量など)にも左右されます。

例えば紅色や緑色の場合次のような割合で作られます。

酸化剤過塩素酸カリウム5843
助燃剤1519
BL助燃剤78
糊剤みじん粉65
炎色剤炭酸ストロンチウム20
硝酸バリウム30

色だけでなく、星の燃える速度や材料の粒度を変えることで、短く消える光、尾を引く光、パチパチとはじける光も演出できます。

まとめ

この記事では、「打ち上げ花火はなぜ空高く上がり、上空で丸く開いて色鮮やかに見えるのか」を知りたい人に向けた解説しました。

花火では揚げ薬、親導(導火線)、割り薬、星と全て火薬が使われており、それぞれに職人の技がふんだんに取り込まれています。

花火を見る時は花火が上空で開くということは実はすごいことを花火師がしているんだと、思いをはせながら見るようにしましょう。

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