スクリューコンプレッサーは、冷凍機や食品製造ラインなどで使われる圧縮空気の供給源です。連続運転に適した構造を持ち、安定した高圧エアを必要とする現場で広く採用されています。
この記事では、スクリューコンプレッサーの仕組みやメリットをイラストを交えてわかりやすく解説します。
スクリューコンプレッサーは何に使う圧縮機?
スクリューコンプレッサーとは
スクリューコンプレッサーとは、らせん状のロータを回転させ、取り込んだ空気の容積を小さくして圧力を高める容積式の圧縮機です。ピストンを往復させるレシプロコンプレッサーと異なり、回転運動で空気を圧縮するため、スクリューコンプレッサーは中容量から大容量のエアを安定供給したい用途に向いています。

そのため、スクリューコンプレッサーは、大きな建物の空調用冷凍機(20~1800kW程度)で冷媒(フロン)の圧縮機として活躍しているケースが多いです。逆に、小規模なプラントの圧縮機にはレシプロ式のコンプレッサーが使われることが多いので、スクリューコンプレッサーが使われることは少ないです。
スクリューコンプレッサーが使われる場所
スクリューコンプレッサーは冷凍機だけでなく、建設現場や食品工場・飲料工場、さらには医療機関に至るまで幅広く利用されています。
建設現場では、移動式のエンジン駆動タイプが削岩機やブレーカー、吹付作業などに使われます。食品製造や飲料工場では、包装、搬送、洗浄工程でエアを使いますが、製品に接触する可能性がある場合は、オイル混入リスクを抑えるためにオイルフリー方式も利用されています。
図でわかるスクリューコンプレッサーの仕組みと構造

次にスクリューコンプレッサーの仕組みを解説します
スクリューコンプレッサー(ツインスクリュー)の圧縮部には、雄ロータと雌ロータと呼ばれる二本の回転体があります。

2つのローターがかみ合いながら回ることで、吸込側から取り込んだ気体をロータ溝とケーシングの間に閉じ込め、吐出側へ移動させます。移動する途中で気体が入る空間は徐々に小さくなるため気体を圧縮できるという仕組みです。


スクリューコンプレッサーは、空気を閉じ込める容積を変化させて圧縮する容積式に分類されます。
スクリューコンプレッサーは圧縮の流れが連続して行われることから、レシプロ型コンプレッサーよりも脈動が比較的小さく、安定した圧縮空気を得やすい仕組みです。
スクリューコンプレッサーの周辺機器

スクリューコンプレッサーを使って空気を圧縮する場合の周辺機器を見てみましょう。
スクリューコンプレッサーには、主にモーター、圧縮部、液分離器、油分離器、オイルポンプなどが必要になってきます。

空気中の水分は非圧縮性のため、コンプレッサーに水が入ると機械が壊れてしまいます。そのため、コンプレッサー手前には液分離器があります。
水がカットされた低圧空気がコンプレッサー本体に入り、高圧まで圧縮されます。潤滑油(オイル)を利用するスクリューコンプレッサーの場合、低圧部分にオイルが供給され、空気と混ざり合って圧縮されます。圧縮された空気にはオイルが混ざっていますので、コンプレッサー出口すぐには油分離器が設置することで、圧縮空気だけを手に入れられるというわけです。

スクリュー式の押しのけ量
容積式のコンプレッサーではピストン押しのけ量を計算できます。ピストン押しのけ量はコンプレッサーが時間当たりがどれだけの体積を押し込むことができるのかを表したものです。ピストン押しのけ量が多ければそれだけ大型の圧縮機ということになります。
スクリュー式コンプレッサーにはピストンはありませんが、容積式のため「ピストン押しのけ量」が$Q=R\times{D}^2\times{L}\times{n}\times60{\text{m}^3}/\text{hr}$で表されます。例えば次の表ような場合、ピストン押しのけ量は$Q=0.45*0.23^2*0.24*3600*60=1234\text{m}^3/\text{hr}$と計算できます。
| 値 | 備考 | ||
|---|---|---|---|
| $R$ | 歯形係数 | 0.45 | 0.45~0.49程度が多い |
| $D$ | 気筒内径(m) | 0.23 | ローター直径のこと |
| $L$ | 行程(m) | 0.24 | 圧縮に有効なローター長さ |
| $n$ | 回転数(rpm) | 3600 | ローター回転数 |
給油式とオイルフリー式で異なる潤滑・冷却の方法
スクリューコンプレッサーは給油式とオイルレス式の2つの方式があります。
| オイルあり | オイルレス |
|---|---|
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| 圧縮比を上げやすい | 圧縮気体にオイルが混入しない |
| オイルの冷却効果で連続運転に向く | オイル交換が必要ない |
給油式は圧縮室へ専用オイルを注入し、ロータ間の密封、潤滑、冷却を行う方式です。圧縮効率を確保しやすく、多くの一般産業用途で採用されていますが、吐出空気に残る油分を管理するため、油分離器やフィルターの保守が重要になります。
一方のオイルフリー式は、圧縮室に潤滑油を入れずに空気を圧縮する方式です。
食品、医薬品、半導体、医療など、油分混入のリスクを特に避けたい用途で有力な選択肢です。ただし、オイルフリーでも吸入する周辺環境や配管由来の汚染は発生するため、必要な空気品質の等級を定め、フィルターやドライヤーを含めて選定することが大切です。
スクリューコンプレッサーのメリット:連続作業と省エネに強い理由

スクリューコンプレッサーのメリットをご説明します。
一定の圧力・流量を安定供給しやすく、生産設備に対応しやすい
生産設備では、圧縮空気の圧力が不安定になると、シリンダーの動作不良、把持力の低下、塗装品質のばらつき、包装機の停止などにつながることがあります。
スクリューコンプレッサーは回転しながら連続して空気を送り出すため、安定した圧力と流量を維持しやすい点が強みです。

エアタンクを併設すれば、一時的に使用量が増えた際の圧力低下を緩和できます。
ただし、能力不足の機種では需要のピークに追いつけません。最大使用量だけでなく、同時使用率、将来的な設備増設、配管で発生する圧力損失を含めて必要吐出量を算定することが重要です。
低振動・低騒音で、作業エリアの環境負担を低減
スクリューコンプレッサーは、ピストンの往復運動を主とする方式に比べて、振動と騒音を抑えやすい傾向があります。回転運動が中心であり、吐出空気の脈動も比較的小さいため、工場内の設備環境を整えやすくなります。
防音カバーを備えたパッケージ型なら、機械室を大規模に改修せずに設置できる場合もあります。
ただし、静音性は出力、設置場所、換気条件、床の強度、配管の固定状態によって変化します。
インバータ制御でエネルギーコストを削減できる
インバータ制御機は、消費空気量に応じてモーターとロータの回転速度を変えられるスクリューコンプレッサーです。エア需要が少ない時間帯には回転数を下げ、多い時間帯には必要量まで増速するため、無負荷運転や過剰な吐出を減らせます。
需要変動が大きい現場ほど、省エネ効果を得やすいことが一般的です。一方で、常にほぼ一定量のエアを使う現場では、一定速機が適する場合もあります。
コンパクトな機械でも高い耐久性と効率を実現できる
スクリューコンプレッサーは、圧縮部をコンパクトにまとめやすく、工場の限られたスペースに設置しやすい機種が多くあります。パッケージ化された製品では、圧縮機、モーター、冷却器、制御盤などがキャビネット内に収められ、配管や電源工事を行うことで運用を始めやすい構成です。

適切な保守を続ければ、長期にわたって安定稼働を期待できます。
ただし、耐久性は機械の種類だけで決まるものではありません。吸込空気の温度や粉じん、換気不足、油やフィルターの劣化、過大な圧力設定は寿命を縮める要因になるため、設置環境と日常点検を整える必要があります。
知っておきたいデメリットと導入時の注意点

次に、スクリューコンプレッサーのデメリットを紹介します。
初期コストが高くなりやすい
スクリューコンプレッサーは、高精度に加工されたロータ、効率的なモーター、冷却機構、制御装置、保護機能などを備えるため、一般に小型レシプロコンプレッサーより初期費用が高くなりやすい製品です。
インバータ、ドライヤー、エアタンク、オイルフリー仕様、高効率モーターなどを追加すると、本体価格はさらに上がります。加えて、据付工事、電源工事、配管施工、換気設備、基礎工事が必要になることもあります。
低負荷・小容量の用途ではレシプロが有利
使用頻度が低い、必要吐出量が少ない、短時間利用といった用途では、レシプロコンプレッサーやスクロールコンプレッサーのほうが適する場合があります。
レシプロ式は比較的導入しやすい価格帯の製品が多く、小規模な整備作業や断続使用に向いています。スクロール式は低騒音性やオイルフリー性を重視する用途で選ばれることがあります。
一方で、
複数の設備が長時間にわたりエアを使う環境では、スクリュー式の連続運転性能が有利になりやすいです。
まとめ
この記事では、スクリューコンプレッサーの仕組みやメリットをイラストを交えてわかりやすく解説しました。
スクリューコンプレッサーは特に冷凍機などで多く使われています。そのため、ショッピングモールやビルなど実はみなさんも知らず知らずのうちに恩恵を得ています。
レシプロ型には無いメリットがスクリューコンプレッサーにあることを覚えておいてください。







